宿の向かいが旧北海道庁だったので、朝早く起きて、赤煉瓦の瀟洒な建物の周りを散策した。水辺に沢山の木が植えられており、いずれもスクスクと育っている。広い北海道の自然に合わすように、本州で見る小高木がここでは大木に育っている。
ズミの木には赤い実がたわわになっており、春の白い花はさぞ美しかったであろうと想像される。小さな池の周りでは沢山の鴨たちが羽根を休め、木々の間で鳥たちがさえずりを交わし合う、ここは札幌の都心のオアシスである。
ズミはコリンゴとも呼ばれる落葉小高木で、5-6月に白い花を木一面に付ける。主として本州北部に分布し、北海道ではエゾノコリンゴと呼ばれる近縁種が中心となる。
学名は、Malus sieboldiiでバラ科リンゴ属である。sieboldiiは、シーボルトに由来する。ズミは酸実と書くが、名前の由来は、この木の幹を染料に使うので「染み」と言ったことによると言われている。