「卯の花の匂う垣根に...」の歌の一節を知らぬ人はない。卯の花は古くから家の境界を示す垣根によく使われてきた。花の種類の少なかった昔は、5月に可愛く白い花を付ける卯の花が好まれたのであろう。旧暦の4月を「卯月」というのも、この花に由来するのだろう。
卯の花は「うつぎ」である。同じ「夏は来ぬ」の歌詞の中に「うつぎ花咲き...」という一節もある。5月中旬以降に、写真のような小さな白い5弁の花が房のようにつく。灌木で根元の方から分枝するので、庭木として植えるには手入れが必要であろう。「卯の花」は植物分類から言うと、ユキノシタ科(saxifragaceae)のウツギ属に分類される。
良く植えられている品種に、白と紫の花を付ける「はこねうつぎ」や、街路の植え込みに使われる「ハナゾノツクバネウツギ(アベリア)」があるが、これらは、スイカズラ科(caprifoliaceae)のタニウツギ属あるいはツクバネウツギ属に属する。
ウツギの学名はDeutzia crenataで、ユキノシタ科ウツギ属である。ユキノシタ科のウツギの見分け方については、マルバウツギの所を参照して下さい。
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今年(2000年)は5月下旬にウツギが満開となった。京大工学部事務棟の横や、農学部農場などで白い花房をいっぱいに付けている。たまたま、剪定の痕があり、ウツギの「空木」たる所以を見ることが出来た。最下段の写真で、
枝の中身が中空であることが見て取れる。