オオヤマレンゲを写しに登られた長岡さんが、行者還り岳トンネル西口から弥山に向かう途中で写された花である。最初はオオシラビソではないかと思ったが、大峰山系はオオシラビソの南限よりも南で、シラビソが主体になることから、シラビソと同定し直した。ウラジロモミも似た葉と花を持つが、葉の裏が白いので写真のものとは異なると考えた。
実際、オオシラビソとシラビソは区別が付かない。日本の樹木」(山と渓谷社)によると、シラビソの分布は吾妻連峰から大峰山系まで、オオシラビソは青森から福井・静岡県までとある。四国ではシコクシラビソが中心となる。球果はオオシラビソの方がやや大きい。球果の苞鱗が種鱗から僅かに突き出しているのがシラビソで、突き出ないのがオオシラビソである。
長岡さんの写真は、球果になる前の雌花である。艶やかな色をしている。球果の色はやや地味な暗紫色である。雄花は黄色で、多数が垂れ下がって咲く。
学名はAbies veitchiiで、マツ科モミ属である。
大峰山系、弥山で長岡さん撮影。シラビソの雌花。(2005.6.26)
木曽駒ヶ岳ロープウエー車窓、しらび平付近で撮影。シラビソの球果の遠望。(2005.8.21)
西穂高のシラビソ