まず、レンギョウの冬芽(とうが)から始めよう。4月の野山や庭を黄色に彩るレンギョウも今はひっそりとしている。しかし、近づいて葉の落ちた枝をよく見ると、冬芽がしっかりと成長を続けている。枝の先端に付いた芽を頂芽(ちょうが)、枝の側面に付く芽を側芽(そくが)というが、レンギョウの冬芽では、頂芽と側芽の大きさが同程度である。この相対的大きさが同定の一つに目安になる。
一方、花になる芽を花芽(はなめ)、葉になる芽を葉芽(ようが)と呼ぶが、レンギョウの花芽は5-10mmで、葉芽よりも2倍程度大きい。花芽の中には、すでに花が折り畳まれて、ゆっくりと成長しており、その断面をルーペで見ると、黄色の花の元が収まっていることが分かる。
側芽の付き方には、対生と互生があり、対生では2つずつ対になって付くのに対して、互生では、一つずつが枝の右左に互い違いに付く。レンギョウの側芽は対生である。モクレンなどは互生である。また、冬芽の外皮は何枚もが重なり合っていることが多く、鱗のように見えるので、これを芽鱗(がりん)と呼ぶ。レンギョウでは芽鱗の数が多いが、トサミズキなどでは少ない。
植物園で木の枝を折ると叱られるが、冬の木の同定のためには、木に害を与えない程度に小枝を折り採って、断面を調べるのがよい。枝の髄には、しっかりと中身の詰まった均質髄、ぽっかり空洞になった中空髄、そしてその中間の断続髄、がある。レンギョウは中空髄を持ち、竹のように節の所だけが仕切になっている。シナレンギョウでは仕切がない。なお、枝に残る「葉の落ち痕」のことを葉痕(ようこん)という。この形も、木の同定に役立つ。
学名はForsythia suspensaで、モクセイ科レンギョウ属である。我が家の庭で撮す。