「カジ」の付く木が幾つか有る。「カジノキ」「カジイチゴ」「カジカエデ」等である。カジノキは「梶の木」「楫の木」「構の木」「楮の木」「穀の木」等と書かれる。このうち、後ろの3つは紙に関係があり、いずれもコウゾ、ミツマタなど和紙の原料の木である事を表しているようだ。前の2つは、音を借りたもので、漢字の元の意味は、船の舵である。もちろんカジノキは、和紙の原料となるので、本来の漢字はあとの3つのどれかであったと考えられる。
カジイチゴは一般に「構苺」と書かれる。したがって、カジノキと関係が深いことになる。カジイチゴから紙は作らないから、葉が似ていると考えるのが妥当であろう。確かにカジイチゴの葉も1枚葉や3裂した葉などと変形が多く、カジノキの葉に似ている。もう一つの可能性は、カジノキの実がカジイチゴの実と似ているという考えである。カジイチゴの淡黄色の実は集合果のブツブツが目立って、カジノキの集合果と似たところがある。
「カジカエデ」は難しい。「梶楓」と書くことが多いが、船の舵とはあまり関係があるようには思えない。葉の形は、ウリカエデやウリハダカエデの方がむしろカジノキに似ている。博学の方に教えていただきたいものである。
さて、そのカジイチゴの花をちゆきさんが送って下さった。カジイチゴは本州の太平洋岸や伊豆諸島に自生する。3-5月に3cmほどの白い花を付け、6月には2cmほどの実となる。淡黄色に熟したものは食べることもできる。
学名はRubus trifidusで、バラ科キイチゴ属の落葉低木である。Rubusは「キイチゴ」、trifidusは「3裂した」の意味。
橙色の集合果