大文字山を登って三井寺に出るハイキングコースを歩いた。ハクサンボク、ガマズミ、ミツバアケビ、シロバナアケビ、ウワミズザクラなどが満開であった。三井寺の裏山に登るところに、入山料500円也の看板があって、みんなで怒っていたが、ふと下を見るとビロードイチゴが一杯に咲いていた。気分を直して迂回することにして琵琶湖に出る。汗ばんだ頬に、湖面を吹いてくる風が心地よかった。
ビロードイチゴは棘の多い落葉低木で、4月に20-30mm程度の花を付け、果実は赤く熟す。1cmくらいの大きさで甘くて美味しい。葉の長さは3-7cmで、不揃いの鋸歯があり、基部で鈍く3裂することが多い。本には、希少種と書いてあるが、中部地方以西の山野によく見られる。ビロードイチゴという名前は、葉の感触がビロードの布を触っているように思えるからであろう。
学名はRubus corchorifoliusで、バラ科キイチゴ属である。
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山渓の「樹木図鑑」に載っていた葉の形から、名前をクマイチゴと同定していたが、加藤さんから、ビロードイチゴかナガバモミジイチゴのようですとご連絡いただいた。同じ山渓の「樹に咲く花」(離弁花1)を見ると、クマイチゴの葉は全く違っていて、加藤さんの仰るとおり、どちらかの種類が近いように思われた。
「このきなんのき」の林さんからは、ビロードイチゴが正解とのメールを頂いた。「名の通り、葉の両面にビロード状の細かい毛があるので、葉を触ると一目瞭然(一触瞭然?)で分かりますよ。梶本さんの画像を見ても、表面のつやがないので、毛が密生している雰囲気を感じます。確かにヤマケイの図鑑には珍しいと書かれていますが、私の地元の山口県田布施町では、里山のあぜ道沿いにふつうに生えています。」とあった。ビロードイチゴに軍配が挙がりそうである。