木の葉が散ると、梢にかかるヤドリギがよく見えるようになる。梅本さんからヤドリギの写真が届きました。解説も梅本さんです。
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和名 : ヤドリギ
学名 : Viscum album var. coloratum
科名 : ヤドリギ科
分布 : 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国等
今の季節、落葉した大木の枝に、毛ダマのような塊を見掛けることがあります。近づいてよく見ると、其れは常緑の植物である事が判ります。(画像:エノキの大木に寄生する様子です。)
之が所謂、「寄生木(ヤドリギ)」です。本種は、単に着生する植物と異なり、宿主の幹に根を食込ませ、其の「寄生根」から養分、水分を吸収しています。
「ヤドリギ」の母種は、欧州、アジア西北部に分布する「オウシュウヤドリギ」という木で、果実が白く熟します。之をクリスマスの飾りに用いる事から、「ヤドリギ」も、同じ用途で利用されるので、今時分、不意に見掛ける事がございますね。尚、「ヤドリギ」の果実は、
画像の様に淡黄色に熟します。
本種の興味深い特徴に、果肉が粘るという性質が挙げられます。之は、鳥により果実が食べられた際、糸を引き粘る事から、糞に絡んで種子が枝に辿り着く仕組みになっております。
この様に、動物によって食べられる事で遠くへ運ばれてゆき、其の糞に混じり排出される事で分布を広げる種子を、「動物摂食散布種子」と呼びます。中でも、鳥類による役割は、広範囲に均一な散布が期待できる為、重要となります。とても興味深いものです^^。
(H11.12.撮影、世田谷区砧公園にて)
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山登りの好きな長友さんから、金色に輝く綺麗なヤドリギの実の写真を頂きました。長友さんは山登りと高山植物の素敵なページ「ワクワク、スロー登山」を作っておられます。ご覧下さい。
エノキに宿るヤドリギ(梅本さん)
12月、ヤドリギの実です(梅本さん)
11月、金色に輝くヤドリギの実(長友さん)
10月、アムステルダム植物園で写したヤドリギの実
春4月、ヤドリギにも黄色い花が咲きます。(ケヤキに宿っています)