京大北部構内にある理学部植物園の入口南に、柵に沿って幾つかの木が突きだしており、駐車場の邪魔をしている。この中では、早春2月に咲く一重の山吹や、春4月のアーモンドの花などが人目を引くが、5月に黄色い花を付ける目立たぬ木がある。だが、近づいてみて驚いたのは、その木の枝である。巨大なトゲが一杯に付いており、ゴツゴツとしている。ただ、大袈裟な割には触っても痛くはない。と思って油断していると、細い枝のトゲに見事にやられた。こちらは鋭くて皮膚に突き刺さる。名標板を見ると「トウザンショウ」とあった。
サンショウ属の仲間では、サンショウが落葉、フユザンショウが常緑であるが、トウザンショウも常緑である。黄色い花の後は、小さな実が沢山付き、熟すと紅紫色になる。実はサンショールを含んでおり、相当に辛い。
学名はZanthoxylum simulansで、ミカン科サンショウ属の常緑低木である。雌雄異株で写真のものは雄株。中国の原産。英語名はSzechuan pepperで四川省の胡椒の意味。
老いた枝のトゲは巨大だが痛くない。若い枝のものは細く鋭い。