シデコブシは自生地が、岐阜・愛知・三重に限られており、伊勢湾要素と言われる代表的な木である。これらの3県には「シデコブシの自生地」として保護された所が多いが、周囲の開発によってじわじわと減少しており、環境庁の「レッドリスト」に載せられている。
愛知県渥美半島では、藤七原、黒河、椛(なぐさ)の湿原が自生地として有名であるが、このうち藤七原と椛を訪れた。今年は例年より花期が遅く、藤七原では蕾、椛ではかろうじてパラパラと開いた花を見たのみであった。
白色のシデコブシはあちこちで植栽されている。淡紅色のものは少なく、上記の自生地が大群落といえる。花弁と萼片のは区別が付かず、全体で12-18個の花びらがあるように見える。集合果はやや奇怪な形をしており、冬には黒ずんで、艶やかな春の花と対照を為す。
学名はMagnolia stellataで、モクレン科モクレン属である。stellataは、「星のような」という意味である。
椛のシデコブシ自生地
藤七原のシデコブシ-まだ蕾 椛のシデコブシ-チラホラ