よしゆきさんは山で珍しい木を同定するのが得意である。そして「木々の移ろい」に無い写真を送って下さる。オオウラジロノキもなかなか見かけない。バラ科リンゴ属の木で、春には白い花を咲かせ、やがて直径2-3cmの小さい実を付ける。今回は、7月の山で見かけた実の写真を送って下さった。加えて、同定に必要な葉の拡大写真と裏面、幹と木の全体像など、樹木鑑定眼の確かな人が観察するように、要点を突いた写真が付けられていた。
ウラジロノキというのがあって紛らわしいが、こちらはバラ科ナナカマド属である。ウラジロノキの葉は、もちろん裏面に毛が密生して白く見えるのだが、葉の形はやや扁平で葉脈と重鋸歯が目立つ。オオウラジロノキの葉の裏面も白いが、その形は楕円形で、重鋸歯はウラジロノキよりもなだらかである。葉の付き方は互生であるが、枝の先端に輪生しているように見える。春5月にはその先端に2-3㎝の5弁の白い花を数個ずつつける。そして、7月には写真のような実に育ち、次第にリンゴのように紅色を帯びてくる。
学名はMalus tschonoskiiで、バラ科リンゴ属の落葉高木である。別名をオオズミという。本州・四国・九州の山地に生える。