秋もたけなわ、木々の実が目に付く季節である。sariさんから、内灘海岸の権現森で見たという、ブドウの房のような綺麗な紫の実の写真を送っていただいた。いつものように梅本さんに同定をお願いした結果、「アオツヅラフジ」と解った。
アオツヅラフジはあまり大きくならない蔓性の木で、葉の縦の葉脈が目立つ。葉は全縁で、広卵形又は浅く3裂する。雌雄異株で、7-8月に円錐花序に小さな6弁の淡黄色の花を付ける。実は6-7mmの直径で、ブドウのように房状に付き、秋には濃い紫色となって表面は粉をかぶったように白くなる。
石川県の内灘町は、9kmにわたって続く内灘砂丘があり、米軍の砲弾射撃基地設置を巡って繰り広げられた内灘闘争(1952-54年)で有名になった。朝鮮戦争終結と共に基地が撤収され、今は砂防林が出来て内陸側は公共施設、住宅が建ち並ぶようになった。この内灘の中程に権現森があり、色々な木々や海浜植物が見られる。
学名は、Cocculus trilobusで、ツヅラフジ科アオツヅラフジ属の落葉蔓性植物である。北海道南部以南、本州・四国・九州の山野に分布する。別名をカミエビという。