京都大学の東、御蔭通りから北白川へと続く疎水の流れに沿って、静かな散策路がある。春にはコブシが咲き、桜、ナンキンハゼ、種々のカエデ、シンジュ、ツツジ、アジサイが次々と咲いて季節を知らせてくれる。ここに、珍しく「オオモクゲンジ」の木がある。目立つ花のないこの時季に、木一面に黄色の花を付ける。
東大の加藤さんから、オオモクゲンジの写真を頂くまでは身近な木ではなかったが、その後この疎水沿いで見つけたときは、懐かしい人に会った感じがした。昨年見つけた時には、下枝の花はすでになく、間近に写すことが出来なかった。今年は、時季を見計らって訪れ、写真を撮ることが出来た。なお、オオモクゲンジの木は、東大構内にもあり、赤門を入ってまっすぐ進み、薬学部の建物の正面に出て右を見ると見つけることが出来る。今頃は落花で、木の下が一面の黄色になっているはずである。
高さ20mほどになる落葉高木で、葉は全縁である。9月頃、大型円錐花序に金色の小さい花を沢山付ける。これに対して、モクゲンジは7月頃に花を付け、葉には重鋸歯がある。1つ1つの花は3mm程度の大きさである。<br>
果実は袋状で、3枚の葉が葉脈をくっつけ合ったような形をしており、各々の葉状の面の中央に実を付ける。写真は、一枚を剥がしてみたものである。
学名はKoelreuteria integrifoliolaで、ムクロジ科モクゲンジ属である。integrifoliolaは、葉の縁にギザギザのない「全縁」の意味である。なお、モクゲンジの方の学名は、Koelreuteria paniculata。ともに中国原産で、寺院などによく植えられる。
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年々素晴らしい花を付けていた上記のモクゲンジが、心ない行政の措置でバッサリと切られてしまったことを、橋本さんからの連絡で知った。顛末をトピックスのページに掲載した。(2006.11.18)
今年は、その橋本さんから、京大理学部植物園に咲くオオモクゲンジの遠望の見事な写真を送っていただいた。切り倒された疎水縁の木の親木ではないかと思われる。(2007.9.15)
京大理学部植物園のオオモクゲンジの樹冠(2007.9.15、橋本さん撮影)
袋状になった果実-加藤さん
花と実が同時に見られることもある-加藤さん
葉の裏