私の敬愛する友人の坂爪君から「幸福の木に花が咲いた」とメールが届いた。坂爪君は京大の化学を卒業してから版画を始め、今や日本の版画界を背負っている一人である。
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我が家の植木鉢の幸福の木―正式名何の木?―が25年目にして初めて咲きました。聡子が母の日に買ってきたもので20cmほどのものが大きくなり、何度か切り詰めました。今年の冬、枯れそうになり植え替えたためか何とも地味な花が咲きました。竹は花が咲くと枯れると言うけれど、植え替えで消耗して花が咲いたのではとちょっと心配。どうなんでしょう。ちょっと珍しいのではないかと写真を送ります。
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私も幸福の木の花を見たことがなかったので、いつもの無沙汰のお詫びを兼ねて、カメラを持って飛んでいった。夕方から夜にかけて咲くと言うことであったが、朝でも少し花が残っていた。花からは蜜がしたたっており、舐めると強い甘みが感じられた。芳香もなかなか強い。戸外に出しておけば、虫たちが一斉に飛んでくることだろう。
この木は、「幸福の木」という名前で日本で出回り始めた初期のものに違いない。ようやく一般家庭でも「観葉植物」をダイニングルームに置いて楽しむ余裕が出てきた頃である。名前の良さも手伝って爆発的に普及した。この木は丸太で輸入されるのだと聞いたことがある。日本に着いてから、丸太を立てておくと上手に美しい葉が出てくるのだそうである。
幸福の木はリュウゼツラン科である。今年、市大植物園で50年に一度という「アオノリュウゼツラン」が咲いて、本体の木が枯れたのを思い出した。そう言われると、何だかこの木も少し元気がないようにも思われる。側面から出ている若い芽が次世代を嗣いでいくのかも知れない。改めて、坂爪君の活躍とご一家の幸福を願って、帰途についた。
学名はDracaena fragrans cv. Massangeanaで、リュウゼツラン科ドラセナ属で、熱帯アフリカの原産。和名を縞千年木、英名をCorn stalk plantという。