秋のケヤキの黄葉は美しいが、春の花は目立たない。4月の中頃のケヤキの木を気を付けて眺めると、葉の根元に小さな花が咲いているのが見つかる。緑色で2-3mmの大きさである。今の季節では、ケヤキの木の下の吹き溜まりは、散った花が一杯である。
ケヤキの雄花は本年枝の下部に、雌花は上部(先端)に付く。下の広い範囲を写した写真をよく注意して眺めると、2種類の花があることに気付く。雌花の先端は2つに割れていて、丸い部分は子房である。雄花は退化して内部に集まっていて見えない。雌花からは小さな翼果状の実が成長する。
ケヤキの樹形からいって、花を撮るのがなかなか難しい。下の枝が全部払われていて、花に手が届かないからである。幸い京都植物園正門前のケヤキ並木には、手の届く高さに花を見つけることが出来た。イギリスのKew Gardenで感心したのは、どんな巨木でも、一枝は手の届く位置まで下ろしてあって、木の芽や花を観察できるようになっている点である。庭園が広いのでこのような余裕があるのだと思うが、日本の植物園でも見習ってほしいものである。
学名はZelkova serrataで、ニレ科ケヤキ属である。
雄花
雌花
京都府立植物園正門前のケヤキ並木