クスコのサクサイワマン遺跡はインカの巨石要塞の一つである。何10トンもある大石を積み上げてあるのだが、石と石の隙間は蟻も入れないほどにキッチリと接して重ねられている。それも表面だけでなく、石の奥行き一杯まで研磨してきちっと接触されているから驚く。大した石組み術である。征服したスペイン人の石組みが大地震でもろくも崩れ去った時も、インカの石組みはビクともしなかったといわれる。
その、サクサイワマン遺跡の前にケウニアの小さな林がある。ケウニアは、日本のウツクシマツのような枝振りの褐色の幹を持った木であるが、通常の高山森林帯の上限以上の高度でも林を作るので、インカの人々にとっては有用で大切な木であった。4-13m程度の比較的低い木であるが、インカの家々ではこの木が防風防寒林として使われ、また、薪や建材としても利用されていた。しかし、スペイン人による数世紀にわたる乱伐で、ケウニアの林は殆ど見られなくなってしまった。
学名はPolylepis sppで、バラ科ポリレピス属の常緑中高木で、南米アンデスの原産である。
後ろはクスコのサクサイワマン遺跡