「かじもと」なので「かじの木」に関心がある。実物を始めてみたのは小石川植物園であった。「こうぞ」と同じ「くわ」科の樹で紙の原料にもなるようである。5ー6月に花が咲き、赤い小さな集合果(桑の実に似る)をつける。また、かじの木の葉は、変型が多く、写真で見るように、素直なものから3裂したものまで色々である。雌雄異株で、雄花と雌花の形が随分と異なる。
京大にもあるかと、植物園を探したが見つからなかった。ごく最近、京大北部構内の水田を横切ったところに樹の密集したところがあるのを見つけて調べに出かけたところ、ついに「かじの木」にお目にかかることが出来た。
かじの木はクワ科であるが、クワ科には人々になじみ深いものが多い。蚕の餌としての「クワ」、和紙の原料としての「コウゾ」や「梶の木」、食用になる「イチジク」、観葉植物の「インドゴムの木」などみなクワ科に属する。巨木で紹介した「アコウ」や「ガジュマル」もイチジク属である。
学名はBroussonetia papyriferaで、クワ科コウゾ属である。
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カジノキは、冷泉家に伝わる七夕の儀式に使われており、宮中での七夕飾りには昔からカジノキの葉が使われてきたと言うことです。静岡県の水野さんに教えていただきました。松月堂古流では七夕の生け花に梶の木の葉を使われるということで、家元の佐藤先生にお送りした梶の木の苗は無事に根付いて葉を茂らせていると聞きました。日本古来の伝統が梶の葉を介して受け継がれていることを嬉しく感じました。
カジノキの葉は家紋にも使われており、「丸に梶の葉」という家紋を千葉の水野さんから送っていただきました。
宮地さんから、冷泉家に伝わる「梶の葉」を使った行事について次のような詳しい情報を頂きました。
「乞巧奠は、古くから冷泉家に伝わる、陰暦7月7日の星祭です。牽牛、織女の二星(たなばたと読むそうです)に、種々の供物をし、蹴鞠、雅楽、和歌などを手向けて、技が巧みになるようにと祈る七夕の儀式です。
「星の座」は、庭に設けられた祭壇です。4脚の机の周囲に9本の灯台をめぐらし、後に2本の笹を立て、笹の間には梶の葉と糸をつるした緒を張ります。机上には、星に貸すため、琴、琵琶などの楽器を置き、また食物を供えます。お供えの種類や配列を覚える為、和歌の家・冷泉家では、次のような和歌が伝えられています。
「うり(瓜)なすび(茄子)もも(桃)なし(梨)から(空)のさかずき(杯)にささげ(豆の一種)らんかず(フライビーンズ)むしあわび(蒸し鮑)たい(鯛)」
机の前には、5色の布、糸や、秋の七草も手向けられます。最前列に水を張り、梶を一葉浮かべた角盥(つのだらい)を置きます。この水に2星を映して見るわけです。
儀式は、午後、陽の高いうちに、手向けの蹴鞠から始まります。やがて日没と共に、灯台に火が入り、雅樂が奏されます。」
カジの木の雄花-大阪市大植物園(2000年4月)
カジの木の雌花-我が家の庭で(2010年5月)
カジの木の集合果-京都大学農学部(1998年8月)
カジの木の葉(5月)
カジの木の幹
カジの木の黄葉(11月)