松江のよしゆきさんは、3月に雪が溶け始めると早速に山歩きである。そこで見付けられたチャボガヤの写真が届いた。頂いたメールの一節には、次のように書いてあった。同定が上手なよしゆきさんである。
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「3月初旬に出かけた山では、まだところどころ雪が残っているところもありました。谷の小さな沢を上がっているときに何気なく触った葉がちくりと痛く感じました。ハイイヌガヤは痛くないはずだけど、これは何だろうと写しました。調べると気孔帯が狭いのでカヤのようですが、分布から日本海側に生えるというチャボガヤとしました。」
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幾つかの樹木では、太平洋側と日本海側で変化があり、住み分けている場合が多いが、チャボガヤとカヤもその一つである。宮城県以南の太平洋側にはカヤが多く、山形県以南の日本海側にはチャボガヤが多い。雪の深い地方では、真っ直ぐに伸びるカヤよりは、地を這うように拡がるチャボガヤの方が適しているのであろう。高さはせいぜい2m程度である。花は4-5月に咲き、秋には実が出来、さらに1年経つと紫褐色に熟して割ける。実はカヤより心持ち小さい。
学名はTorreya nucifera var. radicansでイチイ科カヤ属の常緑低木である。山形県以西の日本海側に分布する。
葉の先端が尖っていて、触ると痛い
裏面の2本の気孔帯が美しい
類似の木の葉の気孔帯の形を比較
樹高は低く、地を這うように伸びる